企業価値とは、文字通り企業の値打ちのことです。企業価値は、企業が資産を使って生み出すキャッシュフローの総和を現在価値に直したもの(事業価値)に、現金・預金や有価証券などの金融資産を足すことで求められます。企業価値は、言い換えると保有資産の時価ということがいえます。企業価値を算出することで、株主価値がわかります。
株主価値とは、株主資本の時価に相当するもので、株主価値を発行株式数で割ると理論株価を求めることができます。
企業価値と株主価値には下図のような関係があります。

通常、バランスシートで表記されるのは、左側の簿価の状態です。しかし、簿価のままでは、正確な企業の価値が測れないので、右のように資産を時価換算(図中のA’)して考えます。
企業価値と株主価値を数式で表すと次のようになります。
企業価値
= 事業価値(営業資産+含み益+営業権) − 営業負債
企業価値は通常DCF法やEV/EBITDA倍率で算定できます。
株主価値
= 企業価値 − ネットデット(※)
※ネットデット=有利子負債−金融資産(現金・有価証券・遊休不動産など)
少数株主持分が計上されている場合は、少数株主持分も企業価値から差し引いて株主価値を計算します。少数株主持分とは、第三者が持っている連結対象の会社(子会社)の株のことで、資産や負債とは独立してバランスシートに記載されるものです
したがって、理論株価は次のようなります。
株価 = 株主価値 / 発行株式数
DCF法での企業価値算出例を紹介します。
ある会社の今年のフリーキャッシュフロー(FCF)が3000万円だとします。5年後まで10%の割合で成長して、その後は一定だとすると企業価値は次のようになります。(割引率を7%とします)
(単位:万円)
|
1年後 |
2年後 |
3年後 |
4年後 |
5年後 |
残存価値 |
現在価値
の累計 |
FCF |
3300 |
3630 |
3993 |
4392 |
4831 |
69021 |
- |
現在価値 |
3084 |
3170 |
3259 |
3351 |
3445 |
49212 |
65521 |
この会社の企業価値は、キャッシュフローの現在価値累計から65521万円になります。仮にこの会社の有利子負債が10000万円で、金融資産が3000万円、少数株主持分が0万円だとすると、この会社の株主価値は次のようになります。
株主価値 = 65521万円 − 10000万円 + 3000万円 = 58521万円
もし、この会社の発行株式数が10万株の場合、理論株価は5852.1円になります。
(理論株価の詳しい算出方法はこちら)
もしこの会社が6年目以降、成長率3%で成長を続けるとすると、企業価値は次のようになります。
(単位:万円)
|
1年後 |
2年後 |
3年後 |
4年後 |
5年後 |
残存価値 |
現在価値
の累計 |
FCF |
3300 |
3630 |
3993 |
4392 |
4831 |
124412 |
- |
現在価値 |
3084 |
3170 |
3259 |
3351 |
3445 |
88704 |
105014 |
上の例と同じ条件で株主価値を計算すると次のようになります。
株主価値 = 105014万円 − 10000万円 + 3000万円 = 98014万円
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