WACCの限界について解説


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■WACCの限界

DCF法でキャッシュフローの現在価値を求める際に用いるWACCは、理論としてほぼ整合が取れています。そのため、キャッシュフロー計算の際にWACCを用いることは、意思決定をする上で大きな示唆を与えてくれます。

しかし、WACCにはいくつか欠点があることも事実です。ここでは、WACCを用いる際に留意しておかなければならないWACCの限界について解説します。


 ●WACCの限界1(時制の不一致) 

企業の資本に対するコストはWACCで求められるとしました。WACCは理論としてほぼ完璧で、今のところ資本コストの算出でWACCに変わるモデルはありません。

しかし、そのWACCにも限界がひとつあります。それはCAPM算出の際に用いるβ(マーケットリスクとの連動性)とリスクプレミアムです。WACCは、企業が将来創出するキャッシュに対する割引率として用いられます。ということは、すべての要素は企業の未来の状況に基づいて考えなければなりません。

ところが、βとリスクプレミアムについては過去のデータを参照にして求めていて、時制の不一致が起こっています。これは将来のβとリスクプレミアムを理論的に算出することが不可能だからです。これがWACC(CAPM理論)の限界といわれています。


 ●WACCの限界2 

WACCのもうひとつの限界は、資本構成によって負債コストと株主資本コストを加重平均しているという点です。つまり、WACCによる割引率は、資本構成(負債と株主資本(時価)の割合)が将来にわたって一定であることを前提としているわけです。逆に、将来の資本構成が変われば将来のWACCも変えなければいけないわけです。

しかし、株主資本の時価(つまり株価)が将来にわたって不明確である以上、一定という前提を立てることや将来のWACCを求めることはほぼ不可能に近いわけです。

したがって、DCF法でWACCを割引率に用いる場合、将来にわたって資本構成が安定していてWACCの変動が少ないと想定される場合に用いることができます。(資本構成が安定しない場合のキャッシュフローの求め方として次ページで説明するAPV法というものがあります)





  


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