価値基準とは、マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマが提唱した、成功する企業が顧客に対する価値を創造する方法のことです。価値基準では、以下の3つの基本戦略を類型しています。
・製品リーダーシップ
・卓越したオペレーション
・顧客との親密さ
トレーシーとウィアセーマは、成功している企業は、このうちの1つで優位性を作ることに重きを置いて、経営資源を集中させているのが特徴であるとしています。
製品リーダーシップとは、絶えず最新の製品・サービスを提供してイノベーションを追求、製品やサービスにより高い価値を提供し続けることで、競合他社に真似しにくい状況を作り競争優位性を構築するアプローチです。
■主な特徴
・発明、製品開発、市場開拓に焦点を当てている
・非常に創造的で、短期間にアイデアを商品化できる
・常にサイクル・タイムの短縮を追求している
・実験家と枠にはまらない思想家を評価している
製品リーダーシップでは、既存製品の保護と新製品開発、自由な創造と採算の問題、少数の大きな賭けと幅広い可能性の育成といった背反する事項の綱渡りが必要で、キーとなる本質として「緊張感」が挙げられています。
製品リーダーシップの代表的企業として、ナイキ、ソニー、メルセデスベンツが挙げられます。
卓越したオペレーションとは、生産方法と販売方法の改善を追求し、競争優位性の構築を目指すアプローチです。
■主な特徴
・低価格で、実質本位の製品やサービスを提供している
・標準化された効率のよい運営手順を用いている
・マニュアル・ルールが隅々まで行き渡り、全員が自分の役割を心得ている
卓越したオペレーションでは、独自のノウハウ、技術の応用、厳しい管理の慎重な組み合わせが重要な要素で、そのためのキーとして「定型」が挙げられます。
卓越したオペレーションを強みとする代表的企業として、デル、ウォルマート、マクドナルドなどが挙げられます。
顧客との親密さとは、顧客ロイヤルティを築き上げて販売力を高めるとともに、顧客からのフィードバックを改善に生かし、顧客ロイヤルティによる競争優位性の構築を目指すアプローチです。
■主な特徴
・顧客との長期的な関係を育んでいる(最初の取引から利益を得ようとしない)
・顧客の内情について深い知識と洞察がある
・顧客に対して常に期待以上のものを提供している
・顧客に合わせて製品やサービスをカスタマイズしている
・意思決定の多くを顧客に密着した従業員に委ねている
顧客との親密さでは、ノウハウを極めた人材、顧客側の重要プロセスに対する最新かつ最高の技術の応用、製品やサービスが持つ機能性の広大なネットワークから生み出され、そのためのキーとして「ソリューション」を挙げています。
顧客との親密さを強みとする代表的企業として、IBM、ホームデポ、ノードストロムが挙げられます。
価値基準の選択においては、次の5つの問いに答える必要があります。
1.顧客はどのような価値領域に関心があるのか?
2.その価値領域を優先的な基準として見なしている顧客の割合なのか?
3.その価値領域で最高の価値を提供しているプレーヤーは?
4.その価値領域で競争相手に対抗する方法は?
5.その価値領域の価値リーダーに追いつけていない理由は?
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