損益分岐点分析を使った企業分析法を紹介


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■損益分岐点分析を活用する

損益分岐点分析をすると、費用構造の変化から企業活動の変化を把握したり、企業の安全性を把握したりすることもできます。

 ●損益分岐点分析から費用構造の変化がわかる 

損益分岐点分析では、その会社の費用構造がどのように変化したのかを見ることも大変重要です。費用構造の変化がわかると、その会社が今後何をしようとしているのかが明らかになる場合があるからです。また、費用構造の変化は、このページの最後に説明する会社の安全余裕度にも違いを生じてきます。

ここでは、回帰分析を用いた損益分岐点分析(固変分解)を用いた費用構造の変化の見方を紹介します。(回帰分析の詳細はここではしません。詳しくはこちらを→相関係数・回帰分析

例えば、ある会社の月ごとの売上と費用の関係が次のようになっているとします。

売上(万円) 費用(万円)
7月 180 130
8月 220 146
9月 230 159
10月 225 170
11月 245 184
12月 209 165

これをグラフにして、回帰分析を用いると次のようになります。



回帰分析によると変動費率72%、固定費1万円となっています。一見するとかなり変動費率が高く固定費の低い会社に見えます。(R2値も0.72とそこそこ高いので信頼性もありそうです)。(※R2値とは2つ項目の関係を近似線でどの程度の割合表されているかをみる指標です。この場合72%程度は近似式で表されていることになります)

ところが、これをもっと突っ込んで分析してみると次のようなこともわかります。



これは、7〜9月と10〜12月を分けて回帰分析した結果です。これを見ると実はこの会社、変動費率は53%で一定のまま、10月から固定費が17万円上がっていることがわかります。(しかもR2値は先ほどよりも高く、信頼性はこちらの方が高そうです。)

固定費がいきなり上がるようなことといえば、人員増加を真っ先に思いつくはず。したがって、この会社は10月から人員増加をした可能性が高いということがわかります。


では、次のような例の場合どうでしょうか。

売上(万円) 費用(万円)
7月 180 130
8月 220 148
9月 230 159
10月 225 146
11月 245 150
12月 209 137

これをグラフにして、回帰分析を用いると次のようになります。



回帰分析によると変動費率39%、固定費60万円になります。(こちらはR2値で0.72とそこそこ高いので、信頼性もありそうです)。

ところが、これももう少し突っ込んで分析してみるとどうでしょうか?



先ほどと同じように7〜9月と10〜12月を分けて回帰分析した結果です。これを見るとこの会社は、10月に変動費率が54%から35%に下がって、固定費が32万円ほど上がっていることがわかります。

一般的に変動費を固定費にするような場合というのは、アウトソースしていたものを自社で抱えるようになった状態と考えることができます。ここでも最もわかりやすいのは、人員ではないでしょうか。したがって、この会社は10月から正社員を雇って外注していた仕事を自社で賄うようになったと考えることができます。


 ●費用構造の変化を見抜く方法 

上にあげた例では、きれいに費用構造の変化を見つけ出しましたが、実場面では数字やグラフを見ているだけでは費用構造の違いを見抜けない場合もあります。一般的に費用構造の変化を見抜くための方法には次のようなものがあります。

■利益率の変化から見抜く
利益率がある時期を境に大きく変化した場合、費用構造の変化を見抜ける場合があります。

■定性情報から見抜く
「最近○○社は人員を増やしているようだ」とか「設備投資を増やしている」、「広告を大々的にやっている」などの定性的な情報に基づいて、損益分岐点分析をすると費用構造の変化を見抜ける場合があります。


 ●損益分岐点比率 

損益分岐点比率とは、損益分岐点売上高と現在の売上高の比のことで、企業の安全性を測る指標のひとつです。

 損益分岐点比率=損益分岐点売上高/現在の売上高

一般的に、損益分岐点比率によって企業の体質は次のように分けられると言われています。

損益分岐点比率 体質
70%以下 超優良企業
80%以下 優良企業
80%以上 やや注意の企業
90%以上 危険な企業
100%以上 赤字企業

国内の中小企業では、損益分岐点比率は、90%前後だそうです。


また、損益分岐点比率と同義の数値に安全余裕率(次式参照)というものがあります。

 安全余裕率 = 1 − 損益分岐点比率


  


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