最適資本構成でも述べているように、税金のない世界では企業の資本構成によらず企業価値は一定になりますが、税金のある世界ではある水準までは有利子負債が多いほど企業価値は高くなります。これをもう少し具体的な例で見てみます。
例えば、A社とB社がそれぞれ資産1000万円だとします。A社は借入金ゼロ、B社は半分を利子10%の借入金で調達していたとします。

ここで、A社、B社ともに150万円のキャッシュフローを生み出すとすると、債権者、株主への配分は次のようになります。
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A社 |
B社 |
| 資産からのキャッシュフロー |
150 |
150 |
| 債権者へのキャッシュフロー |
0 |
50 |
| 株主へのキャッシュフロー |
150 |
100 |
| ROE(株主へのキャッシュフロー/資本) |
15% |
20% |
投資家(債権者+株主)への
キャッシュフロー |
150 |
150 |
したがって、B社株主の方がROEは大きくなるものの、債権者、株主あわせた投資家へのリターンはA社、B社ともに同じになります。
上のA社とB社のケースで税金がある場合を考えます。キャッシュフローにかかる税率を40%と仮定すると、A社、B社それぞれの債権者、株主への配分は次のようになります。
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A社 |
B社 |
| 資産からのキャッシュフロー |
150 |
150 |
| 債権者へのキャッシュフロー |
0 |
50 |
| 税引前のキャッシュフロー |
150 |
100 |
| 税金 |
60 |
40 |
| 株主へのキャッシュフロー |
90 |
60 |
| ROE(株主へのキャッシュフロー/資本) |
9% |
12% |
投資家(債権者+株主)への
キャッシュフロー |
90 |
110 |
税金がある場合、A社よりB社の方が投資家へのキャッシュフローが大きくなっていることがわかります。ここで、債権者へのキャッシュフローが税引前に発生することがミソです。つまり、企業の得たキャッシュフローは債権者、政府(税金)、株主の順に支払われるわけです。そして、税金は債権者へのキャッシュフローが発生したあとのキャッシュフロー(会計上は利益)にかかります。
したがって、借入金を増やした方が、政府に渡る税金が少なくなる分だけキャッシュフロー(=企業価値)を増大させることができるわけです。これを節税効果とかタックスシールドなどといった呼び方をします。
企業価値を計算する場合は、節税効果で増大するキャッシュフローを考えるAPV法を用いる場合と、割引率で節税効果を加味するWACC法を用いる場合があります。
APV法の場合、あとから無借金の場合のキャッシュフローを計算した上で、節税効果分を後から足し合わせるために節税効果がどのように効いているか一目瞭然でわかります。
WACCの場合、節税効果の計算は別にせず、負債コストに節税効果を織り込んで計算します。
WACC = [rE × E/(D+E) ] + [rD×(1-T) × D/(D+E)]
rE = 株主資本コスト
rD = 負債コスト
D =有利子負債の額(時価)
E =株主資本の額(時価)
T =実効税率
いずれにしても、負債が大きくなるほど企業価値が上がることがわかります。(さらに負債コストは株主資本コストより低いのが一般的なので、節税効果以上に企業価値を押し上げます。)
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ファイナンスの原則
FCF
DCF法
割引率(WACC)
β(ベータ)
アンレバードベータ
IRR(内部収益率)
残存価値の算出方法
WACCの限界
APV法
最適な資本構成
負債の節税効果
配当政策
配当政策と株価
自社株買いと株価
株価を上げる投資
ポートフォリオとリスク分散
ポートフォリオとリスク分散2
DCF法でPJを比較
DCF法でPJを比較2
差額原価収益分析
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