価格戦略について解説


投資学経営学用語集
N's spirit 投資学研究室 > マーケティング思考を身につける > 価格戦略

 ■価格戦略1 (価格戦略の基本)

マーケティングの4Pのひとつ、「価格戦略」について解説します。価格はマーケティング・プロセスの中で、唯一利益をの創出を決定づけるものです(他のプロセスでは市場規模の把握や投資・コストの決定しかできません)。そのため、値決めは企業業績に非常に大きなインパクトを与える要素になってきます。


 ●価格決定の際に考えるポイント 

価格の決定においては、3Cの視点で考えるとうまく整理できます。

■市場
・誰が顧客なのか?潜在的な顧客は誰か?
・市場は成長しているのか?縮小しているのか?
・顧客はその製品やサービスを誰から買うのか?なぜ買うのか?

■競合
・競合は誰か?その競合は何を提供しているのか?自社とどう違うのか?
・コスト構造はどうなっているのか?

■自社
・何が変動費で、何が固定費か?その割合は?今後変化するのか?


 ●価格の上下限 

価格設定には一般的に上記3Cの視点が用いられます。健全な競争が行われている製品やサービスだと、通常は下限が製造コスト(自社の視点)、上限がカスタマーバリューの最大値(顧客の視点)になり、その間に市場で競合によって形成されている価格(競合の視点)になります。

価格の範囲

詳細を以下に説明します。


 ●カスタマーバリューでの価格設定 

カスタマーバリューの最大値で価格設定できれば、企業にとって最も利益があがることになります。ただし、カスタマーバリューを顧客にしっかり伝えるプロモーションが必要になります。

知覚価値価格設定
事前のリサーチにより「売れる価格帯」を発見し、予め価格を決めておき、それに見合う原価で商品を提供する方法です。カスタマーバリュー志向の価格設定になります。(価格のリサーチ方法のひとつにPSM分析があります)。

需要価格設定
顧客層や時間帯、季節、場所などの需要動向によって価格を変化させる方法です。例えば、飛行機の運賃や野球場のシートなどがこの方法で決められています。カスタマーバリュー志向の価格設定になります。


 ●競争志向での価格設定 

実勢価格設定
競合の価格を考慮に入れて価格水準を決定する方法です。多くの業界で採用されている方法です。

入札
入札によって価格を決める方法です。買い手は、入札により一番低い価格を設定した売り手と取引することになります。


 ●製造コストベースでの価格設定 

製造コストをベースにした価格設定は、利益を出しやすいという利点がありますが、顧客が払ってもいいと思っていた価格より低い価格設定になって、利益を取り逃がすリスクがあります。

また、まれに「客寄せ」や「単位製品あたりの固定費削減」など理由で、製造コストより低い価格設定をする場合があります。

コストプラス価格設定
実際にかかったコストに一定額の利益を上乗せして価格を設定する方法です。

マークアップ価格設定
仕入原価に一定の率をかけて価格を設定する方法です。流通業でよく用いられるな価格設定です。

製造コストベースの設定のなかには、予め値頃感のでる目標価格を設定し、その目標価格で利幅が十分に取れるような製造コストを目標にして製品を作る場合があります。


 ●顧客の経済的価値分析 

商品やサービスの価格を設定する上で、顧客がその製品やサービスを使うことによって得られる経済的価値を分析することも有効です。

経済価値分析 EVC Analysis

この経済価値を正しく分析し、顧客に正しく伝えることができれば、自社は価格を最大化することができます。

■顧客の販売増の検証
新規市場への参入は可能か?
既存市場での売上増につながるか?

■顧客の価格上昇の検証
顧客の顧客が高く買う魅力があるか?

■顧客のコスト削減の検証
製造効率が上がるか?材料費を下がるか?
メンテナンスコストが下がるか?物流コストは下がるか?


 ●価格範囲を決める要素 

選択できる価格の範囲は、その製品やサービスの顧客にとっての価値の大きさと、競争の激しさによりある程度決められてきます。

価格の範囲

競争が緩やかで、価値の低いものは、製品の導入時期によく見られる傾向で様々な価格帯の商品が存在することになります(上図左下)。そしてその状態で価値が高まってくると、顧客の関心が高まり、ある程度価格帯が集約されてきます(上図左上)。

競争環境が激しくなり、ある程度普及してしまい、顧客にとっての価値があまり高くなくなってしまった商品は、価格競争に陥り価格範囲が極めて狭くなってしまいます(上図右下)。

しかし、競争が激しくなっても、以前として価値の高いものは、価格帯別数量がきれい分布せずに、いびつな形になってきます。このときは、往々にして、その商品カテゴリーにコスト重視のプレーヤーと、差別化により高い価格をとるプレーヤーが存在しています。


 ●価格戦略のタイプ 

■価格が高いと売れるもの
高級ブランドや絵画、彫刻などの芸術品、高級化粧品などが当てはまります。もし、高級ブランド商品の価格が下がったら、その魅力は一気に半減するでしょう。

■値ごろ感の価格で売れるもの
今まで11万円だったものが9.8万円になった瞬間普及が始まるなど、顧客にとって値ごろ感を出すと急激に売れ始めるものがあります。こうした商品は、顧客が値ごろと感じる価格を掴み、その価格が成り立つコストで物を作るということが重要になります。

■安ければ安いほど売れるもの
ブランドに左右されにくい日用品はこの類のものです。

慣例や消費者心理に基づいた価格設定については、価格戦略4に詳細を記します。


  


<<製品戦略へ戻る 価格戦略2へ進む>>
 マーケティング基礎
マーケティング・プロセス
マーケティングの4P
製品戦略
価格戦略1
価格戦略2
価格戦略3
価格戦略4
サービスの価格戦略
価格モデルの革新
流通戦略
プロモーション戦略
競合の模倣を防ぐ方法
ブランド戦略
法人マーケティング1
法人マーケティング2
マーケティング・定量分析
市場規模の推定
市場規模の推定(ATARモデル)
市場規模の推定(海外)
市場規模の推定(ロジスティック曲線)
市場規模の推定(BASSモデル)
消費者購買行動の類型
ステージゲートシステム










N's spirit 投資学研究室 > マーケティング思考を身につける > 価格戦略
投資学経営学用語集

Copyright (c) N's spirit. 2004-2005 All rights reserved.