サービスの価格は、物の価格と異なる特徴をもっています。なぜなら、物の場合、作るための原価をある程度推定できれば、販売価格が安いか、高いかを判断できますが、サービスの場合、対象が無形のため、金額の高い安いの判断が難しいからです。したがって、サービスの価格設定は大変難しい課題といえます。
サービスの価格は主に3つの機能があります。
1.サービスレベルに対する情報提供機能
サービスの中には、他のサービスと直接比較することが難しいものがあります。そのときに、相対的な価格の大小は、顧客にサービスレベルの情報を提供する役割を果たします。
2.ブランドイメージ構築機能
一般的に高い価格は高級ブランドのイメージを、低い価格は安いブランドのイメージを顧客に与えることになります。
3.需要調整機能
サービスは、物と違って在庫ができないので、売れない分を明日売ったり、売れすぎたときに明日の分まで売ってしまったりということが起こりません。つまり、今日売る分は今日しか売れないのです。したがって、価格の付け方によって、適正な販売量を実現することで、売上、利益を最大化する必要があります。需要期は価格が高く、閑散期は価格が安いのは、適正な販売量を維持するための施策というわけです。
4.顧客のスクリーニング機能
サービスの場合、顧客そのものがサービスの品質を決める場合もあります。例えば、数人でクラスを構成する英会話教室の場合、講師だけでなく顧客の能力ややる気がサービスの品質における重要な要素になります。高めの価格設定にした場合、何となく通ってみようという意識の低い顧客を排除でき、高い価格を払ってでも参加したいというやる気のある顧客が多くなるため、他の顧客に提供するサービスレベルも大きくアップします。
サービスにおいては、コストプラスの価格設定という発想は皆無に近く、顧客にとって主観的な価値認識に基づいて価格を決定することがほとんどです。そのため、顧客の価値認知と価格をできる限り結びつけることが重要です。
また、顧客と継続的に接触するサービスの場合、その顧客の生涯価値(LTV:Life
Time Value)から価格設定をすることが重要となります。
例えば、銀行の場合、口座残高の少ない顧客は、口座維持の手間の割に、大した実入りを期待できません。付随したサービスや金融商品の購入することを期待できない、つまりクロスセル(同一顧客に多数の商品を販売すること)の余地がないからです。
では、口座残高の少ない人の取引手数料を上げてしまうとどうなるでしょうか。口座残高の少ない顧客は大半が若い顧客です。手数料UPは、そうした若い顧客が将来優良な顧客になる可能性を棄ててしまうことになります。
このように一度サービスを利用すると、長期的にサービスを利用する可能性がある顧客をもつ企業の場合、生涯価値の考え方に基づく、価格設定をする必要があります。
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