ここでは、ピラミッドストラクチャーの作成方法について紹介します。ピラミッドストラクチャーは、相手への提案や、プレゼンをする際に非常に役に立ちます。
まずは、ピラミッドストラクチャーの頂点となる答え(自分の主張)を決める必要があります。売上を上げるために、広告宣伝費を増額すべきか?という議論であれば、その答えは、増額すべき、または増額すべきではない、のどちらかになります。
議論の課題に対し、答え(自分の主張)が外れていると、その後の議論が成り立たなくなってしまいます。したがって、論理構造していくには、課題が何かをしっかり押さえて、それにダイレクトに答える主張を用意する必要があります。
結論が決まったら、結論を言うために、どんなことが言えればいいのか?というフレームワークを考えます。フレームワークは、MECEであることを意識する必要がありますが、厳密にMECEでなくてもよい場合もあります。
簡単な例でいうと、「市場、競合、自社という3Cの枠組みを押さえておけば、新規事業参入を提案したい場合の結論をサポートできるだろう」という具合です。フレームワークを決める際に注意すべきことは、「まとめやすい」という理由で選ばないことです。結論を導くのに最も効果的なフレームワークを選ぶ必要があります。
したがって、「フレームワーク思考」で例としてあげているフレームワークだけでなく、状況に応じて自らフレームワークを作ることが必要になる場合もあります。
例えば、「小売店の店主を納得させて、新製品の洗剤を置いてもらう」という目的なのに、3Cの切り口で小売店の店主に説明をしても何の説得力もありません。 小売店の店主が聞きたいのは、そんな壮大な企業戦略ではないからです。
したがって、こういう場合は、小売店の店主の立場に立って、最も店主に響くフレームワーク(小売店に対するメリットに重点を置いたフレームワーク)を考える必要があります。(ex、@売上はでるか? A利益はでるか? B何もしなくてもに売れるか?)
頂点の課題と、次の階層のメッセージだけで、言いたいことの8割以上が言える論理構造でなければ、相手に伝わりにくいメッセージなってしまいます。そのためには、フレームワークの選択を慎重に行う必要があります。
フレームワークを決めたら、数ある情報をグルーピングする必要があります。下の例は、事業から撤退すべきか?という課題に対する結論を導くための情報です。事業からの撤退なので、単純に既存のフレームワークである3Cでグルーピングしました。
【いろいろな情報】
市場成長率が高い まだ特色は出ていない
A社(シェア10%)、D社(シェア8%) 自社の販路を活用できる
Y事業の技術者を活用できる
顧客はブランドよりも機能重視
市場の潜在的規模大きい |
これを3Cで分類
すると・・・
→ |
【市場】
市場成長率が高い
市場の潜在的規模大きい
顧客はブランドよりも機能重視
【競合】
A社(シェア10%)、D社(シェア8%)
まだ特色は出ていない
【自社】
Y事業の技術者を活用できる
自社の販路を活用できる |
グルーピングしたら、情報から言えるメッセージを抽出する必要があります。メッセージの抽出の際には、演繹法や帰納法を使っていきます。このとき、結論を言うために価値ある解釈をしたメッセージを導き出すことが重要です。
注意すべき点は、個々の情報の要約にならないようにするということです。個々の情報の要約をしただけでは、単なる「状況説明」に過ぎず、結論に向けた価値ある解釈とは言えません。
ここでは、次のようにメッセージを抽出しました。
【市場】
市場成長率が高い
市場の潜在的規模大きい
顧客はブランドよりも機能重視 |
So what?
→ |
市場は魅力的で、後発でも戦える |
【競合】
A社(シェア10%)、D社(シェア8%)
まだ特色は出ていない |
So what?
→ |
有力な競合他社はまだいない |
【自社】
Y事業の技術者を活用できる
自社の販路を活用できる |
So what?
→ |
自社の強みを生かせる |
| ●抽出したメッセージで論理が成立しているか確認する |
メッセージが抽出できたら、今度は逆に情報がメッセージの根拠になっているかを確認します。
| 市場は魅力的で、後発でも戦える |
Why so?
→ |
【市場】
市場成長率が高い
市場の潜在的規模大きい
顧客はブランドよりも機能重視 |
| 有力な競合他社はまだいない |
Why so?
→ |
【競合】
A社(シェア10%)、D社(シェア8%)
まだ特色は出ていない |
| 自社の強みを生かせる |
Why so?
→ |
【自社】
Y事業の技術者を活用できる
自社の販路を活用できる |
最終的に、3Cのフレームワークでそれぞれ導いたメッセージから次のように結論づけました。
市場は魅力的で、後発でも戦える 有力な競合他社はまだいない 自社の強みを生かせる |
So what?
→ |
X事業に参入すべき |

■課題に対してダイレクトに答える枠組みになっているか?
情報を整理しやすい枠組みにするのではなく、課題にダイレクトに答えられる枠組みにする必要があります。特に、戦略論に出てくるフレームワークを何も考えずにそのまま使ってしまいがちですが、それではただの情報整理に終わってしまう場合があるので注意が必要です。
自分の主張を聞いてもらう聞き手が誰で、何を伝えたいのかという観点で枠組みを作り、場合によっては、戦略論に出てくる3Cや4Pのようなフレームワークを外して考える必要があります。重要なのは、聞き手の聞きたいことにダイレクトに答えられる枠組みかどうかです。
■メッセージの抽出は、課題の結論に向けた意味合いになっているか?
情報から抽出するメッセージは、結論をサポートする根拠になり得るものにする必要があります。情報を整理しただけとか、抽象化しただけとか、列挙しただけでは意味のあるメッセージとは言えません。
ただし、メッセージの抽出は言い過ぎてしまうと、逆にWhy So?という質問に答えられなくなるので、適度なレベルで抽出する必要があります。これは、センスがいるので練習が必要です。
■結論とその下の階層(根拠)だけで、言いたいことがほとんど伝わるか?
2段目以降の階層まで言及しないと伝わらないようなメッセージだと、メッセージの抽出が甘いか、論理が飛躍しているということになります。
■So what? や Why so? が自然に繋がる内容になっているか?
これは、演繹法や帰納法に基づいたチェックが必要になります。
■反論者の立場でも考えておく
例のような場合は、X事業に参入すべきという結論となっていますが、実際のビジネスの場面では意見が分かれるような場合もあります。そうした事態が想定される場合は、あらかじめ反論者なら、どこに突っ込みを入れるかを考える必要があります。
そのために一番よい方法は、反論者の立場でも論理構造を考えることです。つまり、自分が思うのと逆の考えでピラミッドストラクチャーを構成してしまうのです。これによって、自分の論理構造に甘さがないかをしっかり確認することができます。
実務においては、まず仮説(仮の結論)をピラミッドストラクチャーの頂点において、その結論を言うためには、何が言えればよいかという枠組みを考えていくケースが多くなります。
そして、その仮のピラミッドストラクチャーの中に入る情報をひとつずつ証明していく作業をしていきます。こうした方法を仮説思考といいます。
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