周囲との複雑な関係の中で、自社にとって有利な立場にしていく際に必須となるのが「交渉」です。交渉がうまくいかないと、周囲の中で自社の立場を不利にさせることになります。一度不利になってしまうと、有利な立場を挽回するのに時間がかかるので、「交渉」は非常に大きなウェイトを占めるものになります。
自社を有利にできるのは、よい交渉の条件ですが、さらに自社だけだなく、交渉相手も含めて満足でき、両者の合計利得が最大化させられると、相手からも好感をもたれ自社の有利さがさらに高まっていきます。
交渉も、フレームワークである程度構造化すると、より有利に進められるようになっていきます。交渉の際に考える主なポイントは次の4つです。
■交渉者の数
2者であれば構造はシンプルですが、3者以上が絡んでくると一気に複雑さが増します。
■交渉者の意思決定権
実際に交渉をする相手が意思決定権者であれば話はスムーズですが、交渉者と意思決定権者が異なる場合、意思決定権者の考え・立場に加え、交渉者の考え・立場まで考慮しなくてはなりません。
■争点の数
争点の数が少ないと構造はシンプルですが、妥協点を見出しにくいという特徴があります。逆に争点の数が多いと構造は複雑になりますが、複数の要素の中で、妥協点を見出しやすいという特徴があります。
■交渉者の力関係
これは単純に立場や権力の違いだけでなく、持っている情報量なども含んだ力関係です。
交渉の構造を分析する上での基本概念として、BATNAとZOPAがあります。交渉の前にこれらを押さえておくことで、交渉の際のライン決めを明確にしておくことができます。
■BATNA
BATNAとは、交渉が決裂したときの対処案の中で最もよい案という意味です。Best
Alternative to a Negotiated Agreementの頭文字をとってBATNA(バトナ)と呼びます。
■ZOPA
ZOPAとは、合意可能領域という意味です。Zone of Possible Agreementの頭文字をとってZOPA(ゾーパ)と呼びます。
BATNAとZOPAを具体例で説明します。
D社が、A社からある事業Cの価格交渉をしています。
<A社の立場>
A社は採算性があまりよくなく、他の事業とのシナジーがない事業Cを売却したいと思っています。もし交渉が決裂した場合、H社に事業Cを売るという手もあり、H社からは事前の交渉で300億円という提示をされています。
<D社の立場>
D社は、既存事業に行き詰まりを感じていて、何とか多角化の道を探っていて、R社から事業Cと同じような規模で、同程度に既存事業とシナジーがきく事業Dを買収したいと考えています。買収価格は、400億円を考えています。
このとき、A社、D社のBATNAと、ZOPAは、次のようになります。

この場合、交渉は300億円〜400億円の間で妥結することになります。
さて、ここでA社がD社のBATNAを知っているとしたらどうなるでしょう?そのときは、A社が390億円などというように、400億円よりも少しだけ安い価格を提示することができます。このときはA社の利得はBATNAを知らないときに比べてかなり大きくなります。
このように、自分の利得を最大化する上では、相手のBATNAを探るということが極めて重要になります。
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