企業価値算定方法について解説


投資学経営学用語集
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 ■株価の妥当性を判断する 企業価値算定方法

株価の妥当性を判断する方法を主に3つ紹介します。

■インカムアプローチ
 企業の内在的価値から妥当な株価を求める方法(DCF法

■マーケットアプローチ
 市場の期待値から妥当な株価を求める(PER)、または
 競合との比較から妥当な株価を求める方法(EV/EBITDA倍率

■コスト・アプローチ
 保有している純資産額から株価を求める方法


これらを全て使うか、どれか1つだけ使うかなどはケースバイケースですが、それぞれの指標ごとに特徴が分かれるので、実務上はこれらの指標を組み合わせて使うことが多いようです。

(ファイナンスの基礎もあわせて知りたい方は、ファイナンスの基礎知識・理論もあわせてご覧ください)


 ●インカムアプローチ(DCF法) 

インカムアプローチとして、最もよく用いられるDCF法を紹介します。

DCF法による理論株価は、フリーキャッシュフロー(FCF)を使って次のように表されます。

理論株価 = [ FCF/(r−g) − 有利子負債 ] / 株式数 
(rはリスク、WACCなどを用います。gは今後期待できる成長率を表します)

この式を使うと、最も早く簡便に理論株価の算出できます。DCF法は、複雑なシナリオにも対応できるようになっていて、上記の式よりも精緻に求める方法もあります(詳しくは次ページ以降で紹介します)。さらに負債の比率が大きく変化することがわかっている場合には、APV法という方法もあります。しかし、大雑把に規模感を掴みたいときは上記の式で十分でしょう。(参考:DCF法APV法


メリット・デメリット
○株価そのものをズバリ求められる
○様々なシナリオに対応可能
○買収や再生などダイナミックに財務構造が変わるケースにも対応可
×計算が複雑
×前提条件の置き方によって計算のブレが大きい


活用方法
・精緻なシナリオ分析、感度分析をしたい場合
・財務構造が大きく変わる場面で企業価値を求める場合



 ●マーケットアプローチ(PER) 

上場企業の場合は、内在価値とは別に市場の評価によって株価が形成されます。その評価を表す指標のひとつにPER(=時価総額/純利益)があります。

PERは、株価が1株あたりの純利益の何倍かを示す、すなわち時価総額が純利益の何倍かを示すものですが、実は突き詰めていくと次の式のように表されます。

PER=1/(r−g)
(rはリスク、通常はWACCなどを用います。gは今後期待できる成長率を表します)
(参考ページ:PERとは

これは先ほど理論株価を求めたときに出てきた数式と全く同じものです。リスクであるrは、WACCなどを使って理論的に求められるので、PERの大きさから市場がその企業の成長をどの程度見込んでいるかという成長率(g)がわかります。

■株価の妥当性を判断するアプローチ
1.想定する成長率を求めて、現在のPERと比較する
2.PERから逆算された成長率(g)を用いてDCF法等で
  理論株価を求めて、現在の株価と比較する


メリット・デメリット
○市場のトレンドを反映できる
○競合他社との比較も可能(ただし、デメリットの勘案必要)
○計算が単純
×純利益が会計方針や資本政策の影響を受けやすい
×特別損益の影響も受ける


活用場面
・簡易に株主価値を求める場合
・株式市場の影響を加味した株主価値を求める場合
・同業他社と株価を比較する場合
 (会計方針、資本構成、税制の共通点が多い場合において有効)


償却費の会計方針が指標に与える影響をおさえるために、経常利益×(1−実効税率)で計算した修正純利益を用いた修正PERを使う場合もあります。


 ●マーケットアプローチ(EV/EBITDA倍率) 

ある企業の株価の妥当性を判断する場合は、同業他社の株価と比べて妥当かどうかを判断する必要もあります。比較の仕方のひとつとして、PERで比較するという方法がありますが、PERは純利益ベースであるため、会計方針の違いや特別損益の影響を受けてしまいます。

そこで、それらの影響をなるべく少なくしたEBITDA倍率を用います。EBITDA倍率は、特に欧米を中心に一般的に用いられる指標になっています。(参考:EV/EBITDA倍率

EBITDA倍率は次のように求められます。

EBITDA倍率
=(時価総額+有利子負債−現預金などの余剰資産)
  /(経常利益+支払利息−受取利息+減価償却費)


EBITDA倍率は、競合との比較をする中で、割安か割高かを図る判断材料となります。


メリット・デメリット
○市場のトレンドを反映できる
○会計方針の影響を少なくできる(償却費の影響はない)
×計算がやや複雑


活用場面
・簡易に株主価値を求める場合
・株式市場の影響を加味した企業価値を求める場合
・海外企業など同業他社でも税制や会計方針が異なる企業と
 株価を比較する場合


マーケットアプローチを使う場合の、同業他社の選択基準としては以下のようなポイントがあります。

・マーケットが類似と見なしている企業を選択する
・同じような売上規模の企業を選択する
・財務内容(例えばD/E比率などが)が似た企業を選択する
・株式の流動性が十分にある企業を選択する


ただし、全ての条件に当てはまる会社がゼロまたは1社しかない場合は、これらの条件にひとつでもあてはまる複数の企業を選択し、総合的、多角的に株価の妥当性を判断していきます。


 ●コストアプローチ(PBR) 

将来期待できる収入や類似企業との比較の他に、企業が持っている純資産をベースに価値を算定する方法があります。主にPBR(時価総額/純資産)を用います。

分母に用いる純資産には、帳簿上の価格(簿価)を用いる場合と、帳簿価格を時価に修正したものを用いる場合があります。

メリット・デメリット
○市場価格が明確でなくても簡易に計算ができる
×ブランドやノウハウなど無形の資産価値を評価できない


活用場面
・非上場企業で市場価値が不明確な場合


 ●各指標が表す意味合い 

価値算定をする際には、それぞれの尺度が表す意味合いを考慮する必要があります。詳細は「コントロールプレミアム」を参照ください。


  


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