PER、PBR、EV/EBITDA倍率などの比較


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 ■投資尺度(マルチプル)の比較と活用例

投資尺度の中で、PERやEBITDAなどのマルチプルと呼ばれる尺度について整理すると次のようになります。


 ●投資尺度の比較 

主な投資尺度の特徴を比較すると以下のとおりです。

尺度 分子 分母 特徴
EV/
EBITDA倍率
企業
価値
税引き金利償却前利益
(営業活動における収益力)
会計基準の影響受けにくい
EV/
EBIT倍率
企業
価値
営業利益
(営業活動における収益力)
償却費の会計基準の影響受けやすい
PER 株主
価値
純利益
(株主に帰属する利益)
会計基準や一時的な損益の影響を受けやすい
PBR 株主
価値
純資産簿価
(株主に帰属する解散価値)
含み益や営業権(のれん)の影響を把握しにくい
PCFR 株主
価値
税引後キャッシュフロー
(営業活動における収益力)
税制の影響を受けやすい

最近は、多数の国の類似企業で比較されるケースも多く、償却に対する会計方針の違いを排除しているEV/EBITDA倍率を積極的に採用することが多いようです。

ただし、通常の価値算定の実務においては、どれかひとつの指標だけではなく、複数の指標を比較して価値を算定していきます。


 ●投資尺度の活用例 

例えば、ある会社X社の価値を算定するとします。X社の類似の事業会社と思われるA〜Dの4社を比較対象企業としてピックアップしました。

尺度 A社 B社 C社 D社
EV/
EBITDA倍率
6.6 7.1 11.4 5.9
EV/
EBIT倍率
9.8 10..4 14.4 8.8
PER 18.0 16.4 20.4 17.5

<X社>
EBITDA:23億円 EBIT:19億円 純利益:11億円 
ネット有利子負債:10億円

類似会社の指標を参考にする場合は次のようなアプローチがとられます。

1.類似会社の平均値を採用する
類似会社のマルチプルを単純平均します。比較対象が多い場合は最大値と最小値を除いた中で平均をとることもあります。この場合は4社なので、単純に4社平均をとります。
EBITDA倍率:7.8X  EBIT倍率;10.9X  PER:18.1X

2.類似会社の中央値を採用する
類似会社のマルチプルの中央値をとります。対象が奇数個の場合は、真ん中の数値をとり、偶数個の場合は真ん中2社の平均値をとります。この場合は4社なので、真ん中2社の平均値をとります。
EBITDA倍率:6.9X  EBIT倍率;10.1X  PER:17.8X

この2つのうち、どちらかひとつをとる場合と、両方の考え方を採用する場合があります。いずれの方法を採用するにしても、できる限り合理的な理由を見つけることが重要です。

この例では、次のようにそれぞれの指標でレンジをもたせてみました。

尺度 倍数レンジ 価格レンジ
EV/
EBITDA倍率
6.9〜7.8X 159〜179億円
(企業価値)
149〜169億円
(株主価値)
EV/
EBIT倍率
10.1〜10.9X 192〜207億円
(企業価値)
182〜197億円
(株主価値)
PER 17.8〜18.1X 196〜199億円
(株主価値)

EBITDA倍率およびEBIT倍率では、企業価値が算出されるため、ネット有利子負債を差し引いて株主価値とします。

そうすると、この中で最小値と最大値を見ると、この会社の価値の幅は、149〜199億円程度と推定されたわけです。

単純に価格だけ見ると、このレンジを下回っている場合は割安で、このレンジを上回っている場合は割高と考えることができます。


  


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