前回の日記で、株価の分析をしたので、株価の評価について少し書いてみます。
市場の株価が適正かどうかを判断する主な方法として以下のものがあります。
1.PERやPBR、EBITDA倍率などのマルチプルで他社と比較する。
2.DCF法や配当割引モデルなどを使って企業が内在する価値を求める。
しかし、どれをとっても絶対的な値というものはなく、算出した値に対しては、見方によって安いという人もいれば、高いという人もいるなど様々です。中には、市場でついている値段が一番正しいという見方もあります。
その中で、我々は何を株価の拠り所として投資をするのか。PERやDCFなどの投資尺度はありますが、結局のところは、自ら考える前提条件、将来予測、価値観が拠り所になってくるのだと思います。要するに、本当にその値段で納得して買えるかどうか、ある種、文芸作品を購入するのと同じような感覚ともいえると思います。
では、そもそも投資尺度を見る意味があるのか?という疑問ありますが、私は、意味があると考えます。なぜなら、投資尺度から、市場はその企業に対してどういう前提条件を置いているのか?どういう将来予測をしているのか?ということを逆に導くことができからです。そうした前提や予測が自分の仮定したものとどのように差異があるのか?その差異は十分起こりうる範囲の話なのか、それとも全く起こる見込みのない話なのかで株価判断の拠り所のひとつにできます。(つまり、納得感を高めるのに役立つわけです)
ちなみに、PERやEBITDA倍率などのマルチプルからは、市場がその企業の成長率をどのように見ているか、パラメーターの多いDCF法からは、市場がその企業の売上成長率、将来の利益率や設備投資の見込み、WACCという形で表れるその企業のそもそものリスクをどう見ているかを測ることができます。
久しぶりにDCF法の計算シートをいじって、現在保有している中国株の株価について簡単に考察しました。
前提条件として、利益率、運転資本、設備投資、減価償却費は、常に売上の一定割合とし、リスクフリーレートは中国国債金利4.3%、リスクプレミアムには5.5%を用いました。
これらの条件をもとに、現在の中国のGDP成長率約9%と同じペースで成長したとして理論株価を計算すると、以下のようになります。(計算方法の詳細は株価分析を参照ください)
0857ペトロチャイナ:5.99ドル
(6/27現在:10.04ドル)
0902華能国際電力:-0.89ドル
(6/27現在:5.40ドル)
1138中海発展:8.48ドル
(6/27現在:22.60ドル)
何と、理論値がいずれも実際の株価を大幅に下回る結果となりました。(こうした結果は、よくあることですが。)
では、逆に理論株価が今の株価と同じになるように、向こう10年間の売上成長率を設定するとどうなるかやってみました。(言い換えれば市場はどの程度の成長率でこれらの企業を見ているのか?ということです)
0857ペトロチャイナ:15.8%
0902華能国際電力:21.5%
1138中海発展:21.0%
この結果をどう見るかは個人差があると思いますが、私はこの成長率では売上は伸びないと感じています(つまり今の株価は高いと感じます。)昨年中国株を一部売却して、元本を確保したのには、こうした計算結果が背景にもあったのです。(逆に購入時点は私が計算した理論株価に対し、実際の株価がかなり割安でした)
(ちなみに、DCF法は前提条件の置き方で出てくる数値が大きく異なります。したがって、計算する人、個々人が妥当性の高いと考える前提が異なると、出す結論もかわってきます。)
さて、実際の株価が理論株価より低いのはなぜか?理由のひとつとして、配当金があると思います。2007年の各社の配当金を2007年12月時点の株価で割って利回りを出してみたところ次のようになりました。
0857ペトロチャイナ:2.8%
0902華能国際電力:3.9%
1138中海発展:2.7%
4%以上あった04年頃に比べれば低いですが、まずまずの利回りでしょう。(実際、華能国際電力は配当利回り目当てに持っているようなものです)
以上のことから、現在の株価は、企業の成長から考えた理論株価より割高ではあるものの、現状の利回りを確保できるような配当をできれば、株価の下落圧力は緩和できそう。くらいは言えるか?と思います。(私の場合、配当利回りが低くなれば、少なくとも華能国際電力売りでしょう。)
昨日、排出権についての記事を書きましたが、排出権絡みでCO2排出規制強化の動きを紹介します。
今年の国会で、省エネ法と温対法という省エネ関連の2つの法律の改正案が今国会に提出され、可決されました。
これまで2つの法律は、温室効果ガスの排出管理、排出量報告を大規模な工場など事業所単位で適用されていたのに対し、改正により企業単位で(フランチャイズチェーンについても一つの企業として捉えて)適用されることになります。
つまり、これまでは大きな建物だけに気を配ればよかったものが、企業として温室効果ガス削減に取り組まなければならないことになったわけです。さらにコンビ二などのフランチャイズチェーンは、フランチャイジーが運営する店に対しても温室効果ガス削減の責任を負うことになっていくわけです。施行は2009年の4月から(一部2010年4月からの施行です)。
今回の改正は、温室効果ガス排出量が伸び続けているオフィスでの削減が狙いのようです。(今回の改正は洞爺湖サミットで、日本の取り組みをアピールしたいという狙いもあるのでしょう)
今後、企業単位で省エネ規制が強化されれば、オフィスの省エネを切り口とした商材やサービス(例えばESCOなど)の市場拡大に拍車がかかってきそうです。
参考記事:2008年省エネ法改正の衝撃
先日、ETRADE証券からエコリンク債という債券の案内がきていました。(詳しくはこちら)
リンク債とは、株価指標に連動して価格が変動する債券のことで、エコリンク債は、排出権の先物価格に連動するユーロ建ての債券です。つまり、償還価格が排出権先物価格とユーロの為替レートによって変動する可能性がある債券というわけです。
排出権とは大規模なCO2排出源に割り当てられたCO2を排出する権利のことで、CO2排出量を減らすことで、余った枠を市場で他企業に売買することができます。その売買価格が排出権価格になります。今回のエコリンク債は、排出権の「先物価格」に連動した債券というわけです。今後排出権の取引量は拡大していくことが見込まれています。
拡大する排出権取引市場により価格上昇のポテンシャルを秘めた排出権価格に、今後力を伸ばすことが予想されているユーロという組合せで投資家をの気持ちを掴もうというところでしょう。
利率は0.5%〜0.7%で国債の半分から1/3。償還価格は大きくぶれる可能性があるので、国債や社債などの債券とは異なりかなりリスクの大きい債券です。
この債券、大変興味深いですが、私のスタンスは「見」。注ぎ込める金がないという話もありますが、まずは様子を見ておきたいと思います。
エマージングマーケットとしてBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国の略)やTVT(トルコ、ベトナム、タイの略)などがもてはやされています。この中で、タイと中国に行ったことがあり、実際に見た感じでも都市部は非常に活気あふれる感じです。携帯や液晶テレビ、車などは最新のものが流通してはいますが、雰囲気は成長著しい60年代、70年代の日本近い感じではないかと思います。
さて、BRICS、TVTへの投資という観点では、インド(投信)と中国(個別株)に投資をしているわけですがそろそろ第3のエマージングマーケットでもと思い、先のBRICS、TVTを検索していると、ドバイ株というものが検索で引っ掛かってきました。どうやらドバイ株への投資推奨している本があるそうで、「All About」のこちらのページでドバイ株投資マニュアルなる本が紹介されています。
ドバイというのはUAE(アラブ首長国連邦)の都市で、近代化が進む砂漠のオアシスです。凄い勢いで成長しているとのことなので、少しでも早く投資をという焦る気持ちもありますが、まずは自分の目でしっかり成長性を見極めることが大事。そのうち、ドバイに行く予定でも作って実際の市場の雰囲気を見てこようかと思います。
5月2日の日経新聞にも掲載されていましたが、2008年度より設備の耐用年数が一部短縮化されました。2007年度の償却額の改定に続く改定ということになります。海外の制度に近づけていくことが狙いとしてあるようです。
さて、耐用年数が短縮されるとどうなるか?
まず、1年あたりの減価償却費が増えるので、利益額は減少します。今年の決算報告書の資料を見ると、各企業で減価償却方法の変更という項目が出ていると思いますが、これは耐用年数の短縮によるものがあります。株式の指標で考えるとPERに影響が出てきます。
では、利益は減りますが、企業価値はどうなるか?というと、これは上がることになります。
企業価値の計算は、その会社が生み出すFCFの現在価値の累計をベースにして求められます。「FCF=営業利益(1-税率)+減価償却費−運転資本の増加分−設備投資」額という式を考えると、FCFを算出する際に営業利益には税率分がマイナスされていることがわかります。つまり減価償却費が増えて、営業利益が同じだけ減った場合に、FCFはプラスになるわけです。
今回の制度変更では、耐用年数が短縮になるわけなので、直近の減価償却費が増えて、将来の減価償却費が減るということになります。つまり近い将来のFCFが増えて、遠い将来のFCFが減るということになるので、FCFの現在価値を考えるとプラスになるわけです。
したがって、企業価値は上昇するというロジックになります。(ただし、元々営業利益がマイナスの会社にとっては意味がありません。また、EBITDA倍率で考えると、影響は出ません。それは税率を考えていないからです。)
会計の制度は、年々変化を遂げていくもの。それにより実態が大きく変わるわけではありませんが、変化によって投資指標にどのように影響が出るかは考えておいた方がよいかもわかりません。
ちなみに、本サイトの減価償却費のページがまだ古い情報のままなので、近いうちに更新しておきます。
本書では、地頭力を次のように分解しています。
1.仮説思考力
2.フレームワーク思考力
3.抽象化思考力
とは言っても巷にある論理思考の本と内容的にかぶるところが多く、本サイトのコンテンツで取り上げているものも多くあります。ここまで書いてある内容が同じものが巷にあふれているということは、それだけ重要な考え方であるということでしょう。
その重要な考え方を実践をするという意味で、本書で最後に取り上げている「地頭力を鍛えるために」という章で、いくつかの訓練手法を挙げています。
1.3分間事業シミュレーション(3分でビジネスモデルの収益性を図る訓練)
2.エレベーターテスト(30秒で結論から、全体から、単純にを意識して内容を説明する訓練)
3.ポイントを3つにまとめる(報告を3つくらいの根拠やポイントにまとめてみる)
4.1枚の絵で説明する(1枚のチャートで概念、全体像を明確に示す)
特に3と4は、今の仕事柄、非常に重要性を感じるところです。