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2008年07月31日
 ■ 日経新聞「リスクテイクと成長率の関係」を見て感じたこと

今日の日経新聞の5面に面白い記事が載っていました。2008年経済財政白書からの引用なのですが、横軸にリスクテイク(=ROAのばらつき)、縦軸に実質GDP成長率をとったグラフを載せていて、リスクテイクと成長率は比例するという論調で書かれています。

確かに、グラフを見ると両者は比例するかのようになっています。そこで、もう少し詳しく見てみようと、引用元となっている経済財政白書の第2章「企業家計のリスクと対応」を調べてみたところ、他にもいくつかグラフの解釈が考えられると思ったので書いてみようと思います。


まず、白書の主張である比例関係について。R2値を見ると0.229と決して高くないです。つまり、全てのプロットをひとくくりにして、1つの直線で説明するのは少し乱暴ではないかという見方もできます。(R2値とは、横軸と縦軸の関係をその近似直線または曲線で説明できる割合を示します)

では、横軸のリスクテイクを0.06で区切って、左側だけ、右側だけでそれぞれ見るとどうなるか。左側では、「リスクテイクは小さくても、やり方次第で成長率を上げることは可能である」という解釈があるでしょう。右側では、「リスクテイクを大きくしても、成長率にはわずかしか効いてこない」という解釈もあるでしょう。もしくは、左側と右側を比べて「リスクテイクが大きいほど、成長率のバラツキは小さくなる」ともいえます。

また、直線で説明できるとした場合、「成長率1%程度の日本だが、今と同じリスクテイクの度合いでも、2%までは成長率を伸ばす余地がある」という解釈もできそうです。

あるいは、「リスクテイクの割に高い成長率を誇る韓国には見習うべきところがあるはず」という解釈もできます。

さらに、「そもそもGDP成長率が高い国がリスクテイクをするのはある意味あたり前」というように、そもそもの因果関係が逆ではないかという見方もできます。


補足をすると、経済財政白書の主張が間違っていると言っているわけではありません。しかし、グラフをそれらしく見せられると、ついついその主張を是としてしまいがちなので、そのグラフから本質を読み取った解釈を引き出せているかどうか、あるいはそのグラフだけで本当にその解釈を引き出せるかどうかなどを疑うこともときには大事でしょう。



2008年07月01日
 ■ 株価をどう評価するか

前回の日記で、株価の分析をしたので、株価の評価について少し書いてみます。

市場の株価が適正かどうかを判断する主な方法として以下のものがあります。
1.PERやPBR、EBITDA倍率などのマルチプルで他社と比較する。
2.DCF法や配当割引モデルなどを使って企業が内在する価値を求める。

しかし、どれをとっても絶対的な値というものはなく、算出した値に対しては、見方によって安いという人もいれば、高いという人もいるなど様々です。中には、市場でついている値段が一番正しいという見方もあります。

その中で、我々は何を株価の拠り所として投資をするのか。PERやDCFなどの投資尺度はありますが、結局のところは、自ら考える前提条件、将来予測、価値観が拠り所になってくるのだと思います。要するに、本当にその値段で納得して買えるかどうか、ある種、文芸作品を購入するのと同じような感覚ともいえると思います。


では、そもそも投資尺度を見る意味があるのか?という疑問ありますが、私は、意味があると考えます。なぜなら、投資尺度から、市場はその企業に対してどういう前提条件を置いているのか?どういう将来予測をしているのか?ということを逆に導くことができからです。そうした前提や予測が自分の仮定したものとどのように差異があるのか?その差異は十分起こりうる範囲の話なのか、それとも全く起こる見込みのない話なのかで株価判断の拠り所のひとつにできます。(つまり、納得感を高めるのに役立つわけです)


ちなみに、PERやEBITDA倍率などのマルチプルからは、市場がその企業の成長率をどのように見ているか、パラメーターの多いDCF法からは、市場がその企業の売上成長率、将来の利益率や設備投資の見込み、WACCという形で表れるその企業のそもそものリスクをどう見ているかを測ることができます。





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