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2008年04月29日
 ■ 【思考】ウェブ進化論

旧来の権威を崩し、「知」の世界の秩序が再構築されているという軸で3年前に発刊された本です。ロングテール、RSS、web2.0といった言葉が解説されています。この本は、2年前に一度読んだのですが、最近何気なく読み返してみました。

読み返して印象に残ったのは、最後の部分にあるプロ棋士である羽生氏の言葉。
「ITとネットの進化によって、将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています。」

つまり、情報の整備により、定石や終盤局面での指し方などがネット上で随時更新されていき、初心者が上達するスピードは、はるかに高まったということです。しかし、その一方で、そこから先のトッププロになるための狭き門の前には、恐ろしいスピードで上達した人達が大渋滞を形成しているというわけです。

では、大渋滞を抜け出すにはどうすればよいか?本書の記述に私なりの解釈を加えると大きく2つです。
・他にはない異質性を加えて大渋滞を抜ける。
 (渋滞をすり抜けるバイクになったり、空を飛べる車になったりする)
・そもそも高速道路を走らずに、別に道から目的地を向かう。
 (新たな道を作る)

これらをビジネスの世界における個人レベルの行動に落とし込むと、次のようなことだと考えました。
1.知識ではなく、知恵、情緒などで勝負する
  (論理的思考力、人間力、コンセプト提案力をつける)。
2.価値の高い情報を集める。
  (ネットに落ちている2次情報ではなく、生の1次情報を集める)
3.まだ誰もやっていないことに取り組む。

記憶、情報の集約などは、機械が最も得意とするところです。そうなると、人間が差別化できることは何かというと、他にもあると思いますが、上の1,2,3あたりではないでしょうか。このあたりは、「プレミアム戦略」や「ハイコンセプト」につながる話だと思いました。



2008年04月16日
 ■ 「プレミアム戦略」の記事を読んで

Toyokeizai LIVEに「プレミアム戦略」という本の紹介とともに、著者が語るプレミアム戦略についての記事が掲載されていました。本書自体は読んだことがありませんが、記事の内容が大変興味深かったので、紹介します。

まず、著者はプレミアムなものとは、機能的価値が高く、かつ情緒的価値が高いものと位置づけています。つまり、単に機能がよいだけでなく、人間の情緒に訴えかけるストーリーがあるということ、そしてそのストーリーを売り手ではなく顧客が語るということだそうです。

その例としてポルシェが出てきます。ポルシェは、会社がストーリーを語ることはなく、顧客が語るような仕掛けをたくさん作っているというわけです。今後は、こういったプレミアム感をいかに醸成することが、企業として成長する上で欠かせなくなるとまとめています。

私の本サイトのコンテンツで、論理思考を取り上げていますが、最近では一般的な知識として認知されるようになってきました。(知識として持っていることと、使えるレベルにあることには雲泥の差はありますが・・・)。論理思考が一般的になれば、何が差別化要因になるか。それは、おそらくプレミアム戦略にも書いてあるとおり情緒的価値だと思います。それは、企業としても個人としてもそうなるでしょう。これは右脳を使うクリエイティブな思考ができる人間の価値が高まるとした「ハイコンセプト」にも通じるものがあると思います。

記事では、情緒的価値を醸成するには10年、20年かかるとしていますが、個人レベルでもおそらく10年がかりで醸成するものなのでしょう。自分もこの情緒的価値(あるいはコンセプチュアルな能力とでもいいましょうか)を磨くために、まだまだ精進しなければと思いました。

ところで、記事ではプレミアム戦略で成功している会社は非上場企業が多いそうです。これには、株主の圧力がプレミアム戦略の遂行を妨げる傾向にあるからではないかという考察を加えています(株主にとっては重要なのは、プレミアムよりも目先の利益)。10年後にプレミアムがヒットすることを期待したい長期投資家にとってはジレンマを感じる話です。



2008年04月15日
 ■ DCF法のメリット

先日、ご紹介した本「会社の値段 (ちくま新書)」に、DCF法のメリットは、多数の変数を変化させて精緻に企業価値を計算できることではなく、ある企業価値を多数の変数の変化から論理的に説明できるということだと書いていました。つまり、DCF法でロジックを固めて答えを出すのではなく、答えありきの状態からDCF法でロジックを後付けすることもできることだというのです。

企業買収の値決めは、買収する側とされる側の双方が、計算された企業価値にお互いが納得できるかどうかでラインで決まるということを聞いたことがあります。その納得感をEBITDA倍率やPER、DCF法で得たNPVなどの指標から引き出すというわけですが、「会社の値段」では、その中でもDCF法は変数が多いので、割と納得感を引き出しやすいということを言っているのだと解釈できます。

実は、私もDCF法を後付けでの説明に使うという感覚には同感できます。私自身、DCF法を使って投資判断を仰ぐ資料を作ることは多いのですが、結局自分がやりたい方向に向かうように、”それなり”の数字を作って、その数字を納得させられる論理武装をするからです。

買収する側も買収される側も、投資案件の承認をもらう側も承認する側も、互いに人同士。結局のところ重要なのは納得感。DCF法は、その納得感を引き出せる要素が少しだけ多いところにメリットありというわけです。



2008年04月14日
 ■ 注目度高まるか 総配分性向

総配分性向とは、純利益に対して、配当金額と自社株買いの消却額の総額がどの程度の割合を占めるかというもので、文字通りどれだけ株主に利益を配分しているかを表す指標です。先日の日経新聞でも取り上げられていました(もしかしたら、同じ意味を表す総還元性向で載っていたかもしれません)

生命保険協会が実施した「株主価値向上に向けた取り組みについて」というアンケート結果を見ると、06年の日本のTOPIX構成企業の総配分性向は37%。米国企業が90%ということで日本は米国に比べればまだまだということになります。

企業は有力な投資先がないまま、余剰資産を抱え込んでいると買収の対象にされてしまうので、余剰資産は配当や自社株買いをして、株主に対して利益配分することが重要になります。日本には成熟産業をフィールドに戦っていて、有力な投資先がなかなか見つからない企業も多いでしょう。そうなると、今後、総配分性向が重要性を増し、日本でも総配分性向という言葉が一般的になる時代がくるのではないでしょうか。

(参考)総配分性向



2008年04月06日
 ■ 【株式投資・ファイナンス】会社の値段

会社の値段を算定する必要性、値段の実体、値段の計算ツールを紹介する本です。経営者、投資家の両方ともに必読の書といえると思います。この本では、株主価値の評価には、DCF法PEREBITDA倍率があればOKというスタンスをとっています。(しかもDCF法とPERは本質的に同じであると説いています。このあたりの解説は本サイトに盛り込んでいきます。)

以下、計算ツールの公式です。
株主価値=企業価値+現預金などの余剰資産−有利子負債
DCF法における企業価値=FCF/(r-g)(DCF法の最も簡便なやり方)
rはリスク(通常はCAPMやWACC)、gは成長率
PER=株価/EPS=1/(r-g)
EBITDA倍率=企業価値/(営業利益+減価償却費)
(企業価値=時価総額+有利子負債−余剰資産)


本書を読んで、私なりに株主価値を評価するときのイメージを次のように考えました。
1.企業の内在的な価値が理論的に株主価値にどう表れるかをDCF法で見る。
2.WACCを使って市場がその企業の成長率をどう評価しているかをPERで見る。
3.会計方針や特別損益の影響を排除したEBITDA倍率で競合と比較をする。
こうしてまとめてみると、株主価値をクイックに求めるには、この3つの指標で十分だと思いました。(DCF法の精緻さによりクイック度合いはかなり変わりますが・・・。)



2008年04月05日
 ■ 【論理思考】戦略「脳」を鍛える

本書では、経営戦略立案においては、戦略論の定石を知った上で、さらにプラスアルファが必要で、兵法や将棋などの例を出した上でそのプラスアルファはインサイトだと結論づけています。そして、そのインサイトを生み出すには(思考の)スピードとレンズ(物の見方)が必要で、各章でそのスピードとレンズの磨き方を述べています。

■スピードの磨き方
1.戦略のエッセンスをコンセプトワードとして覚えておく。
主なコンセプトワードは以下のとおりです。(本サイトで紹介しているワードもいくつかあります)
コスト系・・・スケールカーブ経験曲線
顧客系・・・セグメンテーション、スイッチングコスト、ブランド
構造系・・・デコンストラクションアドバンテージマトリックス
競争系・・・ファースト・ムーバー・アドバンテージ、プリエンプティ・アタック
組織能力系・・・タイムベース競争、ナレッジマネジメント

2.グラフ発想
ある現象をモデル化して、グラフで表す

3.シャドウボクシング
自分に通じるイメージと、他人にも通じる論理、この両方の思考を繰り返す。

■レンズの磨き方
1.視野を広げる拡散レンズ
ホワイトスペースを活用する、バリューチェーンを広げる、進化論で考える

2.狭く深く見るフォーカスレンズ
ユーザーになりきる、テコをきかせる、ツボを押さえる

3.思考をジャンプさせるヒネリレンズ
逆バリをする、特異点を探す、アナロジーで考える

各章には、それぞれの能力を磨くための簡単な例題が用意されています。





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